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ピーアイエヌケー






























 鍋に水を張って、冷蔵庫で体育座りしたまま眠っていた彼女を沈めて、煙草に火をつけた。彼女の、絶対に笑うことのない冷徹な唇が好きだった。肌はミルクとピンクソーダがマーブルに渦巻いていて、まるで雨の日の窓ガラスを反転させたような表情をしている。火にかけると、首筋や肩や鎖骨の溝や二の腕に、薄桃色の水滴がたくさん浮き出てくるようになって、顫動しながらある程度の大きさまで成長した途端、次々に割れていく。プチプチしたグミかあるいは魚卵が、彼女の肌で産まれたり爆ぜたりしている。水面に広がった彼女の長い黒い髪が、先の方から色がなくなっていくのを、おれは煙を吐きながら観察していた。高熱で液化するどんな金属よりも穏やかで、高温で茹でられるどんな食物よりも蕭やかだった。飾らず、光らず、無表情に滾っている。水が沸騰する頃には、ほとんど体中が透き通ってしまっていた。全身を今にも敗れそうな膜にしていて、中の心臓や子宮や卵巣がゆっくり踊っているのが見える。フォークを握って乳首を突っつくと、半熟の黄身みたいなトロトロの液体が、上擦ったように酸っぱい色をしてドクドク出てきて、おれは彼女を破くことと、破かれた彼女を観察することに夢中になった。咥えていた煙草の灰が落ちたが気にしていられなかった。彼女は溺れながら、股の間に右手をやって、左手で破裂した乳房を支えながら熱湯の中で煩悶している。身をよじって震える度に、彼女の飛沫が散って、おれの眼鏡のレンズにまで付着した。それを人差し指と中指で塗り拡げると、視界が染まって、目に映るもの全てがおれに恥じらいをもって紅潮しているように見えた。煙草を踏み潰して、かわりに二本指を揃えてにおいを嗅ぐ。舐めると苦かった。彼女は自分の体液を飲み込みながら、顔を歪めたり緩めたりして、ピンクの涙とピンクの鼻血とピンクの涎を垂らして痙攣していた。沸騰した彼女の溶液が次第に気化し始めいて、部屋中が喘ぐようになっていた。乳首と膣から、彼女の中身がすべて放出し、火を止めて鍋の中をかき混ぜると、二つの眼球だけが浮いているだけで、他は何も残っていなかった。スプーンで掬って高く掲げると、蜂の蜜のように糸を引いて、それを落としたりまた掬って掲げたりを何度か繰り返しているうちに、加虐的な気持ちになっていく。皮膚感覚が遠のいていっている。膨張した神経がひしめきあっている。眼球を噛み潰して、まだ熱い半透明でピンク色の液体を、両手で掬って飲む。吐きながら飲み下す。舌が痺れて粘膜が爛れて眼窩が甘ったるくて、脳みそがずぶ濡れだった。体温の上昇や感情の高ぶりと同時に、途方もない落胆を、排水溝の栓を抜いたときの渦巻くような喪失感を、おれはハイスピードで味わっていた。射精に似ていた。ピンク色の、無口で伏し目がちな射精だった。キッチンは焼け付くような静けさの中で、焦げることも凍ることも許されないまま諦観めいた沈黙を決め込んでいた。おれは唇から溢れた彼女の溶液を自分の裸に塗りたくって、残りをプラスチックの水鉄砲に詰めて、銃口をしゃぶりながら、引き金を引いて、








































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